人前ではツンツンして一見愛想がないが、二人きりになるとデレデレしてしまうという、アニメなどで人気の“ツンデレ”をテーマにした「ツンデレ百人一首」が話題だ。前作「ツンデレカルタ」は、当初の予定をはるかに上回る1万個以上を販売し、「百人一首」も既に予約が殺到している。広がる人気の裏側を探った。
「ツンデレカルタ」は、「あ」の札なら「アンタなんて豆腐の角に頭ぶつけて死んじゃえばいいのよ!」、「こ」の札は「このぉバカ! 私の気持ちも知らないで……」など、ツンツンしたり、デレデレするせりふが書かれた読み札と、総勢20人以上のイラストレーターが描き下ろした萌え系の女の子キャラクターの取り札絵がセットになる。
しかし、シリーズ最大のポイントは、「ゼロの使い魔」のルイズや「ハヤテのごとく!」の三千院ナギなど、アニメの人気ツンデレキャラを演じ、“ツンデレの女王”の異名を取る人気声優の釘宮理恵さんが読み上げるCDがセットで付くことだ。CDをランダム再生することで、そんな釘宮さんの“ツンデレボイス”でカルタや百人一首が遊べるのだ。
どうして「ツンデレシリーズ」は生まれたのか。
企画したDEARSは、「サザエさん」のアナゴさんなどを演じていている若本規夫さんが読み上げる百人一首や「地獄少女」の能登麻美子さんが読み聞かせる「日本の昔話」などを手がけたCD制作会社だ。07年秋、12月末に開かれる同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」に初出展することが決まった同社では、コミケ会場限定の商品を企画していた。そんな中、同社の田端健一社長が、ボードゲームやカードゲームが好きだったことや、購入者が正月に遊んでくれるだろうという思いから、「ツンデレカルタ」を1000個限定で売り出すことを決めた。
ところが、公式サイトでコミケでの限定発売を発表したところ、ユーザーや流通関係者から要望や問い合わせが殺到。急きょ、アニメイト、ゲーマーズなどの専門店や通販サイトでの販売を決めた。通常のカルタでは、1000個売れればヒットと言われる中、発売後も売り上げを伸ばし、1カ月で1万個以上を販売する大ヒット商品となった。
これを受け、5月に発売されるシリーズ第2弾の「ツンデレ百人一首」は、「芝生で膝枕」「おみくじ当たるかな」などさまざまなシチュエーションで、100人のオリジナルキャラクターが発するストーリー仕立てのツンデレなせりふを「信じられない!デートでお昼寝なんて」などツンツンした「上の句」と、「なんなら、ひ、膝枕してあげよっか……?」などデレデレする「下の句」に分け、せりふが全部書かれた読み札を読んで、下の句が書かれた取り札を取り合う。「ツン」な上の句から「デレ」な下の句を想像する楽しみが加わったほか、最後にキャラクター名も読み上げるので、分からない場合は名前から札を当てることもできる。
田端社長は「ゲームとしての楽しさに加えて、釘宮さんの“ツンデレ”ボイスが丸々60分入ったCDとしても楽しんでほしい」と話しており、既に第3弾の企画も進行中という。カルタから始まったツンデレ旋風がどこまで行くのか。今後も注目したい。
ツンデレ百人一首/釘宮理恵、DEARS 5月9日発売 2625円
(4月30日配信 毎日新聞)
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