「働きたいときに働けるグッドウィルの存在はありがたかった。法律を守ってくれればこんなことにはならなかったのに」。厚生労働省が11日、日雇い派遣大手のグッドウィルに2~4カ月の事業停止命令を出したことを受け、派遣労働者からは失業への不安や怒りの声が上がった。
東京都港区の男性(36)は11日夕、渋谷支店(渋谷区)に給与を受け取りにきた。2年前に腰を痛めて失業。「つなぎのつもり」で同社に登録し1年半、宅配などの仕事を続けてきた。昨年末に報道で同社の処分を知り、年明けの就職活動で廃棄物回収会社の契約社員に内定したが、腰に不安もあり「できれば日雇いの仕事を続けたかった」と言う。男性にとって同社の日雇いは最後の選択肢だった。1年ほど働いている30代の男性は「新しい仕事はまだ決まっていない。これから考える」と言葉少なだった。
横浜市の支店に登録している女性(44)は「こんなにひどい働かせ方をしてきて、恥ずかしくないのか」と昨年末に代表権を返上した親会社「グッドウィル・グループ」の折口雅博取締役会長を批判。「グッドウィルは早くつぶれてほしい」と怒りをあらわにした。
日雇い派遣労働者で作るグッドウィルユニオン(梶屋大輔委員長)などはこの日、渋谷支店前でビラを配布、港区の同社前や厚労省前で日雇い雇用保険の適用などを訴えた。労組は「事業停止で仕事がなくなれば、労働者の生活は深刻な事態になる」と、厚労省に▽長期勤続の労働者への賃金補償をグ社に指導する▽保険を使え、仕事にあぶれた際に手当を受給できるようにする--などを求めた。
組合員は「数千人が仕事を失う可能性がある。事業停止は当然だが、日雇い派遣制度を認めてきた厚労省はその責任を取り、生活・雇用の緊急措置を取るべきだ」と話した。
同社は「処分を厳粛に受け止め、再発防止に取り組みたい。就労機会の確保に最大限努める」とコメント。関係者によると、同社は派遣元責任者を置いていなかった支店を統廃合するなど人員整理を進めており、社員にも将来を不安視する声が高まっているという。
厚労省は、派遣先に対し就業中の労働者の雇用確保と積極的な仕事のあっせんを求めるよう同社を指導。都道府県労働局での相談受け付けを強化する。
(1月11日配信 毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080111-00000159-mai-soci
PR