衆院選の前哨戦とも位置づけられる大阪府知事選が10日に告示される。自民が推す弁護士でタレントの橋下徹氏(38)▽民主が推す元大阪大学大学院教授の熊谷貞俊氏(63)▽共産が推す弁護士の梅田章二氏(57)の主要3候補予定者は、元日から街頭に出るなど前哨戦を本格化させている。昭和50年以来、33年ぶりの三つどもえの政党対決となる府知事選。人気タレントの出馬もあって全国の注目が集まっている。
■橋下氏
自民府連が推薦を決めた橋下氏は、府立北野高校ラグビー部の後輩をスケジュール担当の秘書にし、動き始めている。
“売り”はタレント活動を通じて得た抜群の知名度。推薦した自民府連幹部は「あまり政党色を前面に出さず、基本的には自由にやらせたらいいと思う。後援会の組織固めやポスター張りなど後方支援に徹するつもり」といい、党の活動とどう連携するかがポイントとなりそうだ。
橋下氏にとって当てが外れたのは、自民とともに支援要請していた公明党府議団が、橋下氏の推薦を見送ったことだ。大阪で大きな集票力を持つ創価学会内部に、橋下氏のこれまでのテレビ番組での“過激発言”に対して相当のアレルギー反応があったためといわれる。公明府議団は「支持」という形をとるが、「“選対”に入るか分からない」と今のところ一定の距離を置いており、自民との温度差が浮き彫りになっている。
また、関西経済界も表立って支援の動きは見せておらず、これまでのテレビ出演で顔を売った抜群の知名度を頼る選挙戦になりそうだ。
■熊谷氏
民主と国民新が推薦を決めた熊谷氏。民主や連合大阪などの全面バックアップによる組織戦で戦う方針で、昨年12月の立候補表明後は、連合傘下の労組へのあいさつ回りに追われていたため、元日が街頭でマイクを握る「デビュー」の日となった。
知名度アップが課題だが、府連幹部は「出馬表明以来、新聞やテレビで橋下氏と比較する形で取り上げられて、名前も知られるようになってきた」と話し、「橋下氏は今がピークだろうが、うちはこれから」と自信をみせる。
関西財界の一部は熊谷氏寄りともいわれ、経済界への食い込みを図るほか、「高齢者政策」を打ち出して、橋下氏の推薦を見送った公明票の取り込みも狙っている。
ニックネームは「大阪のガリレオ」だったが、もっとソフトなイメージの「クマさん」に改め、浸透を図っている。
■梅田氏
昨年9月に出馬表明した共産推薦の梅田氏は2度目の府知事選への挑戦。幅広く府民の声をと、回答が2万件を超えたアンケートを実施しマニフェスト作成の参考にした。街頭演説はすでに約150回を数えており、他の2人に比べてマイクを握る姿も板についている。
髪を切り眼鏡を変えた橋下氏や、約30年ぶりにヒゲを剃った熊谷氏と異なり、「政策が中心」と強調するが、眼鏡を縁無しに変え「さわやかなイメージ」を演出。柔道初段で黒帯であることから他候補予定者を「投げ飛ばす」というキャッチフレーズも使い始めた。
年始は2日を除いて街頭演説などで予定はびっしり。陣営では「告示まで時間があったので、万全の態勢で選挙戦に臨むことができる」と語っている。
(1月1日配信 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080101-00000921-san-pol
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