おしゃれを楽しむ男性が増え、男性向けフレグランス(香水)や化粧品のヒット商品が登場しする中、40代以上のビジネスマンをターゲットにした“おしゃれオヤジ商戦”が活発になってきた。中高年男性の美意識の変化が、新たな商機を生みつつある。
≪半個室の会員制≫
有名ブランドショップが入居する表参道ヒルズ(東京都渋谷区)の裏通りに、会員制の豪華な男性専用ヘアサロン「VADI(バディ)」が12月14日オープンする。大きな鏡に真っ白なチェア、大理石の床。内装は、インテリアデザイナーとして有名な森田恭通さんが手がけた。
1、2階が女性用美容サロンとなる新しいビルの3階にあり、会員カードをかざせば直通エレベーターで入れる。全席が仕切られた半個室。女性エスティシャンも常駐し、専用スペースで顔を引き締めるフェイシャルトリートメント、抜け毛に効くとされるヘッドスパ、ネイルケアなどのサービスも行う。料金はヘアカットが8000円から、ヘッドスパが30分1万円から。
運営するK-twoエフェクト(大阪市中央区)の越智岳也社長は、「特別感のある、大人のサロン。コンセプトはヨーロッパ貴族が社交界デビューする『デビュタントの館』」という。40歳を超えて髪が薄くなっても、おしゃれにイメージチェンジしたいという男性は多い。しかし、「普通の美容院で相談するのは気恥ずかしい、という声が周りで多かった」(越智社長)のが、新店舗をつくるきっかけになった。
美容師は40代男性が中心で、気兼ねなく頭髪スタイルの相談が受けられるようにする。取引先へのプレゼンテーション、企業の懇親パーティといった場面に応じて最適な身支度も提案していく。
≪80分3万2000円≫
東京・日本橋にある高級シティホテル、マンダリンオリエンタル東京は、施設内の直営スパで男性専用のフェイシャルトリートメントを10日から始めた。男性特有の肌質を考慮した成分を配合した、オーストラリアのスキンケアブランド「SKINN(スキン)」と共同開発した。1時間20分のサービスで料金は3万2000円。
05年12月の開業当初は、女性の宿泊客が中心だったが、最近では30代以上の宿泊客以外の男性ユーザーが目立つという。直営スパの男性客は日増しに増え、すでに半数に達した。「なかには60代で通っているお客さまもいる」(同ホテル)とか。男性エステサロンに通うのは気後れするが、ホテルの施設なら利用しやすいという中高年男性の心理も働いているようだ。
≪エステにも興味≫
生活雑貨を販売するプラザスタイル(東京都港区)は、男性向け化粧品や小物を扱う「クオミスト」を、東京都千代田区の新丸ビルと有楽町マルイ内に開いたが、「場所柄、40代以上とみられる層が多い」(広報室)という。化粧水などのスキンケア商品やフレグランスがよく売れ、「昔使っていたが、再びつけてみよう」とトライするユーザーも多いようだ。
マンダリンオリエンタル東京では、「米国のエグゼクティブは、外見を磨くことを重視する。こうした風潮が日本でも浸透しつつある」と分析する。ネット調査会社の楽天リサーチ(東京都品川区)によると、40代男性の95%近くがメンズエステに関心がり、50代では100%に達した。美に目覚めた中高年男性向け市場は、さらに広がりそうだ。
(11月11日配信 フジサンケイ ビジネスアイ)
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