お笑いタレントの劇団ひとり(31)が初めて書いた小説「陰日向に咲く」が100万部を突破、断っていたサイン会を行うことが2日、分かった。発売から2年、口コミを中心にじわじわと売れ続け、V6岡田准一主演で映画化されたことも売り上げを加速させた。この日、誕生日を迎えたひとりは「100万人の人に読んでもらえたと思うと、うれしいような恥ずかしいような気持ちです。古本屋さんなら100円で売っているのに、新品を買ってくれた人たちに感謝します」と喜んでいる。
人気タレントの初小説も、06年1月の初版は1万5000部だった。出版した幻冬舎は、発売前からひとりに出版PRのサイン会開催を提案した。しかし、ひとりはシャイな性格に加え「サイン会などをすると、タレント本のように見られるのでは」という思いで、断ってきた。同社の見城徹社長はあきらめ半分で「100万部を超えたらサイン会をやりましょう」と再度提案。ひとりもありえない数字と思い約束したが、2年かけて実現となった。
派手な宣伝はしなかったが、ひとりが望んだようにストーリーや繊細な人物描写への評価が高まった。増刷を重ね、今月1日に54刷100万部を記録した。「ダディ」「大河の一滴」「弟」など、創設14年の同社で14作目のミリオンセラーとなった見城社長も「これだけ長い期間で100万部売ったのは、僕にとっても初めて。小説のレベルが本物で、人々の胸を打ち続けたということ」と驚いている。
最近ではリリー・フランキー氏が05年に半生を小説化した「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」が220万部のヒットとなったが、100%フィクションの100万部突破は、03年の146万部を売り上げた綿矢りさ氏「蹴りたい背中」以来。本が売れない時代、小説不況と言われる中での快挙だ。
(2月3日配信 日刊スポーツ)
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