◇大相撲初場所初日(13日)
勝ち残りの朝青龍はひしゃくの水で口をすすいだ。「緊張でのどが渇いていたんだろうな」と察した師匠の高砂親方(元大関・朝潮)。緊張が取り口にも出た。
決め技こそ豪快だったが、所々に不慣れな面が現れた。「いつもなら相手がパッと来るんだけど。立ちにくかった」と朝青龍。得意の左四つに組み止めたにもかかわらず踏み込みが遅くて後退。機敏に双差しになったものの、琴奨菊に巻き替えまで許した。最後は相手の頭を抑えつけてねじ伏せたが、持ち味の速攻相撲とはいかなかった。
横綱として迎える両国国技館では、初めて西から土俵入りした。定位置だった東の横綱は白鵬が入った。朝青龍は「西は初めてだし、仕切りから足の運びがちょっとずれているんだよな」。だが、北の湖理事長は「慎重というより、負けられない気持ちが強く出ていた」。汚名返上のため何よりも勝つことが求められることへの気負いと、ブランクが立ち合いの遅れにつながった。
取組後、支度部屋の奥に陣取った報道カメラマンを「下がれ」などと怒鳴った。いらだちと言うより、3場所ぶりの勝利で本来の朝青龍が戻ってきたようだ。九重審判長(元横綱・千代の富士)は「でかいよ、この星は。普通の休場じゃなかったから重みが違う」
土俵入りには「朝青龍」と声が掛かり、取組では「最強横綱・朝青龍」と書かれた紙も場内に掲げられた。その声援にまずは応えた。朝青龍は「まだ初日だよ。変わらないよ。いつもと同じ」と平常心を装ったか、最後まで笑顔を見せなかった。
(1月13日配信 毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080113-00000065-mai-spo
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