楽曲の著作権を譲渡すると偽り、兵庫県内の投資家の男性から5億円をだまし取ったとして、大阪地検特捜部は4日、音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者(49)と取引の関係者2人の計3人を詐欺容疑で逮捕した。特捜部は、小室容疑者が「音楽配信ビジネスをしたい」という男性の意向につけこみ、事業失敗などによる借金返済のために著作権譲渡を持ちかけたとみており、取引の経緯などを調べている。小室容疑者は「間違いない」と認め、「被害者に申し訳ない。反省している」と供述しているという。
他に逮捕されたのは、イベント企画会社「トライバルキックス」社長、平根昭彦(45)=東京都港区▽広告会社の実質経営者、木村隆(56)=同中野区=の両容疑者。
特捜部によると、小室容疑者らは共謀し、06年7月ごろ、日本音楽著作権協会に小室容疑者が作詞・作曲家として登録していた全楽曲806曲の著作権を10億円で譲渡すると男性に提案。8月9日と29日、男性に前払い金として計5億円を振り込ませ、だまし取った疑い。
取引関係者によると、小室容疑者は木村容疑者の紹介で男性と知り合った。男性から「音楽配信をやりたい」との意向を聞き、インターネットなどを使った新たな音楽ビジネスを提案し、著作権譲渡を持ちかけたという。実際には、著作権は既に音楽出版社に譲渡していたが、小室容疑者はその事実を隠していたという。
男性が振り込んだ5億円は、木村容疑者を介し、06年8月末、小室容疑者の資金管理をしていた平根容疑者の会社の口座に入った。平根容疑者は即日、小室容疑者の借金返済のため、1億5000万円を木村容疑者に、約3億4400万円を東京都内の事業会社に返済したという。
特捜部は4日朝、小室容疑者を大阪市内のホテルから任意同行。東京都港区の自宅や所属事務所を捜索し、資金の流れについても調べる。
小室容疑者は90年代にTRFや安室奈美恵さんらをプロデュースして次々にヒット曲を生み出したが、00年ごろからは人気が低迷し、海外進出に失敗するなどして多額の負債を背負っていた。
(11月4日配信 毎日新聞)
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