<岡山俊明の本日快晴:有馬記念>
メイショウサムソンは、いかなる状況においても日本一の実力を証明できる。有馬記念(G1、芝2500メートル)は天候不良により馬場悪化の様相を呈するが、今シーズン絶好調を誇る「本日快晴」岡山俊明の◎はG1・4勝馬から動かない。もともと荒れたコンディションは苦にしない馬で、しかもあん上の武豊騎手は「馬場読み」の天才だ。前走ジャパンC3着の雪辱に燃える人馬が、現役最強のパフォーマンスを見せつける。
メイショウサムソンの1番人気は偽装された人気ではない。正真正銘の実力をファンは支持している。そして、秋2回使っても賞味期限は切れていない。天皇賞・春秋連覇した馬が同一年にグランプリに出走した場合、タマモクロス2着、スペシャルウィーク2着、テイエムオペラオー1着のパーフェクト連対というデータもある。宝塚記念とジャパンCの覇者アドマイヤムーンが引退した今、距離2000メートル以上のカテゴリーでG1・4勝は不動のNO・1。今回出場する4人の外国人騎手も「危険なのはサムソン」「サムソンがライバル」と真っ先に名前を挙げる。この馬を信じずして、何を信じられようか。
気になる道悪は宝塚記念(2着)でこなしている。泥をかぶって嫌気を出すようなやわな精神力ではない。また、武豊は馬場読みの天才でもある。天気予報通りに雨が一晩降り続き、上がってからは馬場状態が刻々と変化するだろう。どこを通れば、最も馬に負担が掛からないか。それを探知する能力は、誰よりも高い。
最近では、アドマイヤマックスで制した05年高松宮記念が語り草。午前中に内側有利だった芝がレースを追うごとに悪化し、メーンの時刻には外側有利に変ぼうした。小回り中京でのセオリーはインだが、馬場を読み切った武は大外に進路を取った。内で苦しむ馬を横目に、直線馬場のいい部分を選んで一気に突き抜けた。23日、有馬記念の前に芝のレースに4回乗れる。そこで馬場状態をリサーチできる。馬場状態が微妙なほど武に有利になるのだ。余談だがサムソンの4代母にあたるガーネツトは、不良馬場で行われた59年の有馬記念を勝っている。
ジャパンC3着の責任を重く受け止める武の気合は半端じゃない。「有馬記念は、絶対に負けちゃいけない」と自らにプレッシャーをかけた。その前走は名手でさえ読み違えた。道中は馬群の外。4コーナーも大外を回し、大胆な横綱相撲でねじ伏せようと試みた。それでも勝てると踏んでいたが、過信だった。余分な距離を走ってアドマイヤムーン、ポップロックに勝てるほど甘くはなかった。先着された2頭の背中を知っているだけに、余計悔しかったに違いない。
今回は敗戦から学んだ教訓を生かす。実力差は紙一重。瞬発力勝負では分が悪い。ジョッキーは戦略を修正してくる。インで脚をため、早めの仕掛けで後続を封じる天皇賞(秋)の競馬が理想。それを可能にする絶好の1枠1番を引いた。ゲートから最初の1コーナーまで距離が短いグランプリコースは断然内枠が有利。スタートがうまいサムソンなら好ポジションを取りやすい。最近10年、1番枠は【2・2・0・6】。連対率は4割に達する。「サムソンが現役最強」。その言葉を、証明してほしい。
(12月23日配信 日刊スポーツ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071223-00000000-nks-horse
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