いよいよ、「岡田ジャパン」が船出する。小野剛技術委員長からは「破壊者にならない形で、オシム監督が作った土台を大切にしてほしい」という注文を受けた。限られた時間、条件の中、いかにチームをまとめていくか。岡田監督の手腕にかかる部分は大きい。
待っているのは、荒波だ。10年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会のアジア3次予選は、来年2月6日の第1戦(タイ戦)、3月26日(バーレーン戦)の第2戦以外は前倒しになり、6月に4試合を消化する日程になった。1月26日のチリ戦、同30日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦。この2つの親善試合で、チームとしての形を作らなければいけない。その前準備として12月中に一度選手を招集し、練習試合を行うことも明言した。
「1月15日から10日間のキャンプだけで新しくチームを作る、それほどぼくは自信家じゃないので、まずはオシムさんのサッカーを踏襲する。ただ、オシムさん以外に、オシムさんのサッカーはできない。今あるものを生かし、予選の中で少しずつ作り上げていきたい」
元々、2人の監督の個性は違う。オシム監督がパスを粘り強く回し、数的優位を作ることを重視したのに対し、岡田監督はゴールまで最短距離でボールを運ぶ速攻主体のサッカーで横浜マを03、04年のリーグ連覇に導いた。岡田監督は「日本が世界と戦うために、人もボールも動くサッカーは変わらない」とオシム監督が最重視したコンセプトは尊重しながら、序々に岡田流の味付けを加えていく考えも示した。
選手選考については、準備時間が短いことから「これまでの選手をベースに、コンディションを見て選ぶ」と語った。一方で、オシム監督の構想には入っていなかった選手の召集も「1人、2人いる」と独自色も加える考え。また、「海外組だろうが、国内組だろうが、呼ぶ基準はチームとして戦力になるかどうか」と強調し、スター選手でも特別扱いはしないことを強調した。
「オシムさんの頭の中では、代表は過渡期だったと思う」と語る岡田監督。オシム流の継承と、岡田流の発展。異なる二つのテーマの折り合いを、いかにつけるかがカギになる。
(12月7日配信 毎日新聞)
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