中国産冷凍ギョーザによる中毒症状で、厚生労働省は、農薬残留のリスクが生鮮品よりも低い冷凍食品から、殺虫剤が検出された事態に強い衝撃を受けている。輸入時のサンプル検査では、加工された食品の大半について、細菌や添加物などをチェックするにとどまり、農薬の有無は調べていない。検査の「抜け穴」から健康被害が出た形で、監視体制の強化を求める声が高まりそうだ。
厚労省は、輸入食品の約5%を抜き打ちで検査し、食品衛生法違反が見つかれば、検査命令などの措置で以降の監視を強めている。食品安全部によると、問題のギョーザと同じ製造元の冷凍ギョーザは昨年1月以降で155回の輸入があり、うち8回は検疫所でサンプル検査を受けたが、違反は見つからなかったという。
しかし、いずれも細菌や添加物の量が基準の範囲内にあるかどうかの検査で、そもそも残留基準がない農薬は対象外。また、サンプル検査とは別に、輸入業者は検疫所に輸入届け出書を毎回出さねばならないが、記載内容は▽原材料▽添加物▽製造方法--で、加工品の原材料に使っている農薬まで申請する必要はない。
農林水産省農薬対策室によると、成分が検出されたメタミドホスは、他の農薬に比べ急性毒性が高いが、加熱調理することで成分が分解され毒性も弱くなるという。問題のギョーザは、冷凍前にも加熱処理されていることになっており、厚労省の担当者は「仮に原材料の一つに高濃度の農薬が付着していても、加工品で中毒症状が起きるとは想像しにくい。包装や流通の過程で混入した可能性も考えられる」と指摘する。
(1月30日配信 毎日新聞)
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