巨人の今キャンプの目玉といえば、他球団の“手あか”が付いてはいるが、やはり、ラミレス、グライシンガー、クルーンの助っ人トリオ。この3人を巨人ナインは、他球団は、ファンは、こう見ている。
キャンプ初日の1日、選手会副会長でもある上原が報道陣を前に、「ラミレスは明るくて良い雰囲気。あとの2人をどうするかが課題やね」と、ジョーク交じりに語り、「クルーンは明るすぎ。クルーンを居酒屋接待? おれの方が嫌だなあ」とも。
クルーンは決してネクラではないが、焼き肉とハンバーガーばかりを極端に好む偏食ぶりをはじめ、少しだけ変わり者。昨年の北京五輪アジア予選で、星野ジャパンの投手キャプテンとして居酒屋ミーティングを開催した上原をもってしても、第一印象は取っ付きにくかったかもしれない。
その一方で、主将の阿部は、「ラミちゃんは、すぐに溶け込んだ。いい雰囲気」と目を細めた。原監督も「彼(ラミレス)は謙虚でまじめ。あのパフォーマンスは、彼にとってはファンサービスなのだろう」と話している。
ここまで言われれば、ラミレスも居心地がいいはずだ。早速、報道陣の前で、「背番号5の印象? キヨハラ。♪トゥー、トゥートゥー、トゥートゥトゥー」と、鼻歌で清原のテーマソングとも言うべき「とんぼ」(長渕剛)を奏でた。かと思えば、「ボク、来日1年目は27歳、8年目の今年は32歳、ってオイッ!」と、中南米出身選手にありがちな、実年齢不明ぶりを逆手に取って“ひとりボケひとりツッコミ”に興じるなど、ノリノリなのだ。
とはいえ、シーズンがスタートすれば問題は本業の方で、キャラクター性は二の次。偵察に現れた中日・筒井スコアラーは「3人とも実力は既にわかっているから、今さらマークはしない。ただ、どこまでやる気があるかが気になる。複数年契約を結んで『今年はソコソコでいいか…』という気持ちがあるなら、ウチにとってラッキー。そうでないなら手ごわい相手になる」という。
そういう意味では、2年契約総額10億円で巨人入りしたラミレス、2年5億円とされるグライシンガーより、単年3億5000万円で、一定の成績をクリアした場合に来年の契約を結ぶ権利を得るクルーンの方が、モチベーションは高いといえそう。
取材に訪れた、熱血G党で知られるアナウンサーの徳光和夫さんは、球団から観客2500人と発表されたスタンドを見上げ、こう首をかしげていた。「お客さんの入りが少し寂しいですね。これは球団首脳の方にも申し上げたのですが、ファンサービスうんぬんではなく、チームの作り方の問題ではないか。日本人は“おいしい所どり”を嫌う国民性ですから」と。
昨年の打点王ラミレス、最多勝グライシンガー、161キロ守護神クルーンを、まさにおいしい所どりした巨人。シーズンを通じて、どこまでファンの心をつかめるか-。その点では最も不確定要素が高く、かつ大切なポイントだ。
(2月2日配信 夕刊フジ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080202-00000012-ykf-spo
PR